多発性嚢胞腎が原疾患で透析に入って24年です。

by マーゴ

カテゴリ:血流量( 1 )

Yanの透析診療所のなかの
透析療法掲示板で
血流量についての質問があり、後半、
血流量についてエキサイティングな論争があって面白かったです。
その内容についてではなく、
血流量についての山羊先生の説明が
私には大切と思ったので、
ここにコピペして保存させていただこうと思います。
山羊先生、Yanさんお許し下さいませませ。


****************************
▼新米CEさん:
>透析患者において血流量の決定因子は何ですか?

患者さんの年齢、体格、食事摂取量、体力や元気度(非科学的な表現ですが)、体調などを考慮して決めます。
>透析医学会による体重に応じて・・ではいまいち理解ができず。

血流量を決める公式は存在しません。

最近、投稿「9768」とその関連投稿、および投稿「10733」でも血流量が問題とされていますので、以下、長くなりますが、私の考えを書きます。

内シャントのある透析患者では、自己血管内シャントでは毎分500〜1000 ml、人工血管内シャントでは1000 ml以上の血液が流れているとされます。従いまして、このシャントを流れる全身を巡らない血液の分、心臓は過剰な仕事をしていますから、「シャントは心臓に悪い」と言えます。

しかし、血液透析の時に回路を流れる血液、いわゆる「血流量」は、シャントの血流の一部です。これまでの二、三の研究によれば、高血流量であっても心機能の変化はないとされています。最近の文献では、透析の最後の1時間に200 → 400 ml/分と血流量を変化させても、血圧低下を認めなかったとする報告もあります。従いまして、「血流量を上げると心臓に悪い」、「血流量を上げると血圧が下がる」といった透析業界にある「伝説」は、正しく無い可能性が高いと考えます。

もちろん、血液透析では、血液を体外に引き出して回す「体外循環」という操作をしますので、この点は心臓に負担がかかる可能性があります。また、治療により、尿毒素濃度や電解質濃度が比較的急に変化するため、浸透圧の低下やカリウム値の低下やカルシウム値の変動がおきます。その結果、血圧変動や不整脈や心機能の変化などが起きる可能性はあります。後者は、透析効率に影響する「血流量」が関与しているとも言えますが、あくまでも「効率のアップ」に伴う体液の性状変化の問題です。

なお、除水コントローラーの無かった昔は、血液回路にかかる圧を調整しながら、除水を行っていました。この時代には「血流量を上げると静脈圧(返血側の圧)が上がって除水速度が上がる」、また「血流量を下げると静脈圧が下がって除水速度が下がる」という関係がありました。従いまして、「血圧低下時には除水速度を落とすために血流量を下げていた」わけです。その作業面だけを見て、「血流量を上げると心臓に悪いし、血圧が下がる」といった「迷信」が広まったのではないかと推測されます。でも、血圧低下で問題なのは「除水速度」であり、「血流量」ではないのは明かです。

DOPPSや透析医学会のデータでも、血流量は多い方が1年死亡リスクは減少することが示唆されています。逆に血流量が低い方が死亡リスクは高くなります。また、近年行われたHEMO研究では、主に血流量を上げて透析量を増加させた「高透析量群」において、死亡リスクや心臓死のリスクは増加していません。血流量を上げると患者に不利益をもたらす可能性は、あまり高くないのではないでしょうか。なお、日頃のシャント流量の影響と区別して、「血流量」だけの影響を調べるのは、事実上不可能と思われます。

以上の理由により、「血流量を上げると心臓に悪い」とか、「血流量を上げると血圧が下がる」という「迷信」は、根拠がうすいといえましょう。なお、血流量を○○ml/分まで上げるという「方程式」や「公式」は存在しません。また、血流量を上げるに際しては、透析効率を上げることによって生じる可能性のある前述の副作用への対策や針・回路の太さの検討も必要です。しかし、現行の一回4〜5時間の透析では、腎臓の働きを補う量が不十分ですから、できるだけ透析量を増やす努力が大切なのです。患者さんをよく診て、適切かつ安全で、高い透析効率を設定するのがよいと考えます。

*************コピペおわり******************

除水コントローラーの無かった昔からの迷信が流布されているのですね。
これで、もやもやが晴れました。
[PR]
by noblesse_oblige7 | 2007-11-21 21:16 | 血流量 | Comments(6)