多発性嚢胞腎が原疾患で透析に入って25年です。

by マーゴ

肝嚢胞 (2)

肝臓
背骨 胃
脾臓
上左が単純性肝嚢胞、右が多発性肝嚢胞です。
CTの見方は肢のほうから仰向けの体の輪切りで、
写真の手前に肢が伸びていると考えてください。
右の写真で黒い部分が肝嚢胞です。
お腹が出っ張ってほとんどまあるくなってしまいます。
この方は当院で始めて手術された方です。
術前
( P L D )
(腎臓)
出っ張っていたお腹が平らになってます。
術後
嚢胞のところで切っていきますから嚢胞の壁は残り、
嚢胞壁から浸出液がいっぱい出るので腹水が溜まります。
この方は透析になっていたので腎臓もとりました。
腎臓を取ったので胃も拡張されました。
お腹の胴回りも非常に小さくなっています
(嚢胞)
(肝実質)

これは別の方ですが白いところが正常な肝臓です
胆管造影ですが嚢胞の為に曲がりくねっています。
この方の手術所見ですが、開腹時は胃袋が圧迫されていました。
この嚢胞の部分を切り取りまして、胃袋の圧迫が大分取れて
胃が見えるようになってきた所です。
この方の場合は全部は取れなかったんですが
横長になってきてお腹がへこみました。
これだけでも大分呼吸が楽になりますし、
女性の方は服が着れるようになったという事ですごく嬉しいようです。
この方は九州から来られた方ですが、
手術しなくてもいいよと言ったんですが、
嚢胞で胃が圧迫されて食事が摂れないので
どうしてもやってくれということで、
ここの部分を切り取りました。
そうしますと、ここの胃袋が伸び、食べられるようになりました。
(胃)

この方は九州でアルコール注入を受けています。
完璧に無くなる事はないですが、小さくなっています。
下の写真はアルコール注入前、上が注入後です。
造影剤で胆管を見るとやはり細くなっています。
バリウムで胃袋を見ると嚢胞でだいぶ圧迫されています。
腹水が術後一週間に10リットルぐらい溜まりましたので、
デンバーシャントというおなかの腹水を静脈に戻すというルートを作り、
皮下にポンプを埋め込んで、ご自分でポンプを一日に何回か押すと、
静脈に腹水が入るという方法で帰っていただきました。
その後情報をメールでお聞きした所、
最近は何もしなくても腹水が溜まらな
くなったという事で、一度軽いヘルニアになったとの事ですが、
それも術後順調にいって満足して過ごされているという事でした。

この方はこちらが顔の方で、ここを切り取ります。
そうしますと下の方に胃袋が見えてきます。
これで圧迫したのが無くなって食べられるようになっています。
この方も同じように切る事によって胃袋が見えるようになります。
普通の人はお腹を開けるとすぐ胃袋が見えます。
肝嚢胞の方は胃袋がこんな風に見えなくなっている方が多いです。

この方は九州の方で今までで一番驚いた方ですが、
ここに見えているのはおへそのヘルニアなんです。
肝臓が大きくなって、腹水が溜まって、おへその所が切れて、
そこが脱腸になってしまったんですね。
それがどんどん大きくなって、足の所まで達して、
何処の病院へ行っても手術を断られまして、
うちの事を聞きつけて来て下さったんですが、正直言って恐かったです。
ご本人もご家族も必死なんですね。
おへそのヘルニアを一度九州で手術されていましたが、
圧迫が激しくてこれだけ出てきてしまいました。
正直言って、私も見た事が無かったので驚いてしまいました。
CTを覗いてどのように切るかの作戦を立てるのですが、
残すべき肝臓が端にありました(写真左上の白い部分)。
方針としてはこちら側(写真右上部分)を出来るだけ切って、
パタンとこちら側へ倒そうという事になりました。
かなり両側を切りました。これが術後ですが、
ここを切る事によってトータル10kgの肝臓を取りました。
これはお腹を開けた所ですが、手術室のスタッフとか看護婦さんとかが
一瞬フリーズするような感じで、本当にどうしたら良いのかなと
私も考えたのですが、作戦どうりに慎重に行いました。、
これはとったものです。
大きさが30センチのメジャーですからいかに大きいかが分かると思います。
MRアンギオというのを先ほど示したと思いますが、
肝嚢胞で大動脈と下大静脈が圧迫されているかどうかをチェックしたんですが、
下大静脈がここで途切れていまして、心臓の方へ映っていないんですね。
ですからこの人の場合は嚢胞で圧迫が有ったという事が分かります。
この方の場合術後かなり足のむくみが取れました。
技術の進歩という物が非常に大きくなりまして、
以前は胆管系のものを観るのに、
胃カメラを飲んで造影剤を入れていたのですが、
今は静脈に造影剤を入れるだけでDICCTと言いまして
コンピューターが3次元に画像解析してくれまして、全部写してくれます。
寝てるだけでこういうのを
コンピューターが画像解析してくれる様になりました。

これが脳の動脈瘤で、小さい動脈瘤があるようなんです。
必ず術前に脳のMRIアンギオというのを行いまして、
動脈瘤をチェックしております。
この方(写真省略)は前回も発表した方なんですが、
2例目の方で、別の多発性嚢胞腎の会の創始者自身です。
女子医大の方でちょうど手術から1年後ぐらいで亡くなられたのですが、、
自ら進んでやってくださいと言って、ほんとにこの方もお若かったのですが、
透析されてまして、腎臓がこういう状況で、肝臓もこういう状況で、
あと肝臓に嚢胞感染も起こっていました。
手術して、あと腎臓も取って、こちらの大きい方の腎臓を取っています。
ところが、元々感染を起こしていたものですから、
術後なかなか熱が取れなくて、
2ヶ月半ぐらい入院して退院して頂いたんですが、
腹水がなかなか取れないと云う状況で、
頑張っておりましたが透析の最中に急に様態が悪化して、
お亡くなりになりました。
この方も、下大静脈が閉塞してしまっており、
循環自体も悪くなってしまっておりました。
ほんとに悩んだ症例だったのですが、
なんとかこの下大静脈を手術してあげたいと考えたのですけど、
手術で多少は良くなったと思うのですが、完璧にはいかなかったです。
ほんとにおなか大きくていらして、
腎臓が内臓を押し上げてしまいまして、
肝臓がそれほどでもなく見えるのですが、
かなり大きく、肋骨の裏で大きくなっていました。
こっちが腎臓です。腎臓はほんとに30センチありまして、
肝臓、あちこち取りました。この部分が感染していた嚢胞の部分です。
これは又別の方で、この方も前回の講演の時もお見せした方で、
60歳台で、クレアチニンが4ぐらいの方でした。
もともと腹水もありまして、群馬県の方から来られたんですが、
まあ今から考えると手術、このころまだ経験が無かったんですが、
まあどっちも苦しい、この状態も確かに苦しい、
61歳ぐらいの方だったんですが、
おなかの水がタボンタボンで、
どっちが好いのかと言うのはなかなか難しいのですが、
手術でこんなにおなかがぺちゃんこになりましたが、
術後胆管炎ということになりました。
かなり激しい手術ではあります。
術後の閉塞性黄疸、胆管炎を何とか治療して良くしようということで、
内視鏡のチューブを鼻から入れて、総胆管に入れましたが、
もう胆管がくねくねに曲がって、あちこちで炎症を起こしてしまっていました。
それにプラス、腎臓の方が機能が悪化しまして、
最終的には敗血症と云うことでお亡くなりになりました。
手術すると腹水というのは必ず起こります。殆どは利尿剤
術後腹水対策で対処してゆきます。
それでも駄目な場合は、腹腔尖刺と
いうことで、先程九州から来た一番大きな人で、
一回に10リッター抜かなくてはいけない。一回に10キロ痩せてしまう訳です。
それでも駄目な人は、先程言った腹腔静脈シャント、
デンバーシャントと言うけれど、
やはり世界中を見ますと作ってる人が居るんですね。
これが医療用品になっています。
・腹腔穿刺
・利尿剤
・腹腔穿刺
・腹腔静脈シャント(デンバーシャント)

これが今年までの手術の症例を全部纏めたものです。
今まで入院した患者さん全部出したんですが、
この72歳の男性は、この方は、あまりにも肝機能も悪く、
肝硬変の状態でしたので、手術しませんでした。
それで数年後に、送って頂いた大学病院の方で亡くなったと報告を頂きました。
後は、殆ど手術したんですが、この中には尖刺吸引だけという方もいますし、
エタノール注入という方も居ますし、
腹腔鏡下開窓術という窓を開けただけという方もおります。
去年、これは単純性嚢胞の方です。
後は皆さん何らかの肝臓の切除を行ってまして、
この亡くなった方というのは、この手術に依って入院中に退院できなかった方
一人だけで、あと皆さん軽快退院しております。
最近はずっと、今年はもう2例、去年は結構ありまして、
5−6例と言う状態です。
総入院数22例ですけど、実際の多発性肝嚢胞の手術症例は18例。
手術症例の平均年齢は49歳です。
ですから、やはり先程最初に見せた手術のリスク4.7%というのは、
確かに当たっているのかなという気はします。只これを除くと、
手術死という事から言うと0%といえるのですが、
1ヶ月以内ということで、
私としてはやはり適用というのをちゃんと考えて
行かなければいけないかなと考えています。以上です。
【講演後の現状−この半年で、手術例が2例なくなっており、
やはり躊躇する手術です。今年の6月から
虎ノ門病院で行われているような塞栓術を肝のう胞に対して
当院でもはじめました。現在2例を行っており、今後の発展が期待できると考えます。
2003年7月】
日本赤字社医療センター
所在地
渋谷区広尾4-1-22
電 話
03−3400−1311
アクセス
JR渋谷東口 学 バス 日赤医療センター行(約15分)終点下車

Q&A
Q:40歳過ぎでADPKDで肝嚢胞ですが、
体液を吸収するために腹膜で腹水を吸収するという方法は有効ですか。
酒井:腹膜で吸収するということは先ほど言いました通り
   最初は腹水が溜まるのですが、どうして溜まらなくなるかと言いますと
   腹膜が働き出したからだということだと思います。
Q:腹膜が本来の機能を果たすようにする方法はあるのですか
酒井:やり方というのは私はあまりよく存じ上げませんが
   利尿剤を使ってやるくらい。  
   他にはシャント術とか、特にそれを流す方法があれば
   教えていただきたいぐらいですが。
Q:私の場合嚢胞は大きいものですから、アルコールを入れると
  大変だということで吸引だけで終わろうかと主治医に言われました。
  でもすぐに又溜まると思われますがどのくらいで溜まりますか。
酒井:溜まりますよね。あの吸引だけだと2ヶ月ぐらいで戻ってしまう。
   早い人だと2週間から1ヶ月位で。
   私自身は外科ですから、
   あさって手術を予定している方もそうですが、
   腹腔鏡下で本当にこの位切り取れば一応ペチャンコのままで
   済みますのでそれをお薦めします。
   本当に簡単な手術です。胆石より簡単なくらいです。
Q:かかりつけの病院が今までそういう手術例があまりないので
  まず水を抜いてからにしようという考えです。
酒井:胆石はうちの病院でも年間150例以上あり、
   研修医の手術になっていますが、
   肝嚢胞の手術自体本当に少なく、
   外科医の中でも一生に一回もやらない人の方がはるかに多いと思います。
   そういう意味でやはり一回もやったことのない手術というのは
   不安になるのは当然ですね。
   やり慣れてしまうと一個だけ開窓するというのが
   こんなに簡単ということはわかっていますから。
Q:病院にデータがないと言われましたので。
  お話しを伺いたいと九州からきました。
  毎日の生活が息苦しいのですが
  70歳ですので病院も躊躇されるようです。
酒井:その手術でしたら70歳でも全く問題ないと思います。
Q:初期の症例と比べて今の方が大胆に切除するようになってきていますか。
酒井:取方自体も手技的に症例が増えると違います。
   外科というのは頭だけではなく慣れというのも
   非常に重要で手技的にはかなり進歩しています。
   ただ基本的にはガンの手術ではないので
   危険はできる限り避けたいということで、
   目的は何かということが問題なのです。
   この手術はやはり患者さんの訴えをとることが
   全てですからそんな究極は目指しません。
Q:究極的な切除をしないで、将来的に嚢胞が又大きくなた時点で
  透析になっていると困りますが。
酒井:それは一応対応できるぐらいにやります。
   その為にどこまでとるか検討してただ実質ギリギリと言うことでは
   危険をおかしている。
   この手術自身は危険なものですが。
   そういう意味では究極を目指しているつもりです。
Q:大きな孤立性の嚢胞の開窓術では腹水が溜まりますか。
酒井:数少ない経験では効率性に合った場合開けても全く
   腹水はたまりませんでした。 
   1週間以内で退院されてしまいました。
Q:患者本人が希望すると言うことが大前提だと思うのですが、
  先生が手術をしたほうが良いと判断する基準はどんなことでしょうか。
酒井:訴えが呼吸困難とか美容的なもの。
   実を言いますと手術した人は全例女性なのです。
   食事が摂れない方。皆さん訴えがあるので、
   患者さんが納得すればやりましょうと。
   こちらから積極的には勧めないのですが。
Q:血液検査などの数値はあまり関係ないですか。
酒井:腎機能が中途半端に悪い方、肝硬変のある方は適応外です。
Q:私今クレアチニン4前後ですが可能ですか。
酒井:ちょっと躊躇します。クレアチニン2位だといいんですけど。
Q:手術後残っている嚢胞が大きくなるとか、
  新しい嚢胞が発生するということはありませんか。
酒井:一番古い方で平成7年に手術した方ですが、
   一時期(4〜5年)ワーと大きくなるがその後は大きくならないようです。
   なぜだかわかりませんが。
   この方もいまだにスマートなままですので
   それから類推するしかないですが、
   他の方も一年に一度CTを撮らせていただいてますが
   特に大きくなってきたということはありません。
Q:梗塞などで血液をサラサラにするお薬をのんでいる人は
  手術を受けるのは危険でしょうか。
酒井:そういう方でも手術を受けられています。
   脳梗塞後の方とか心筋梗塞後の方とか皆さん飲まれていますが
   一週間だけ切っていただければだいたい戻ります。ご心配要りません。
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by noblesse_oblige7 | 2008-04-06 16:48 | 嚢胞腎と肝嚢胞 | Comments(2)
Commented at 2008-12-09 23:06 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by noblesse_oblige7 at 2008-12-14 15:03
嚢胞腎の人はいろいろな臓器に同じような嚢胞が発生します。
嚢胞を形成する遺伝子があるからだそうです。
今井さんのご主人は透析が
どのような状態なのか解りませんが、
高品質の透析を受けておられるのでしょうか?

なんか合併症が多過ぎるような気がします。
腎臓移植のためと言うことで、
余計なことをし過ぎているのではないかと感じてしまいます。
私の場合は透析1年後に両腎共に摘出してしまいました。
別に腎臓移植するためにではありませんでした。
肝嚢胞が増加増大している以外には、何の合併症もありません。

移植につきましては、お身内からの生体腎移植でない場合
移植したくても順番が廻って来ないので
なかなか移植は受けられないと思いますが。
なんで、移植の順番が上位にあるなんてことが
解るのでしょうか?
変ですね。
多発性嚢胞腎だから移植まで行くのが
大変と言うこともないと思います。
たまたまご主人の状態が良くないだけではないてしょうか?
それから、お書きになっていること自体理解し難いです。